水道橋 桃の実
一見ケーキ屋さんとも思えるようなその白い建物の扉はずっとひらきっぱなしである。
それにしてもこんなオフィス街に、長蛇の列。
あーやっぱりなあ。もうちょっと早く来ればよかった。
主人が見つけた、「桃の実」というその店は、
オフィス街に突如大行列を作りだしていた。
前にも後ろにも首から IC カードをぶら下げた可愛い女子。
SE ぽい男子がわいわいと談笑しながら強烈で待っている。
場所としては水道橋の駅からと5分から7分。
ビルが大きくそびえ立っている。
どうやら、日大が近くにあるらしい。
間口が狭い扉の奥に広がるようなスペース。
黄色い光がほっこりと私たちを出迎えてくれる。
ピカピカに磨き上げられたシンク周りが清潔感を感じさせる。
行列の雰囲気からして、とてもゆっくりと食べられる雰囲気ではないのだろうなと想像したのだけれども
扉の奥は何ともゆったりとした時間が流れ、
落ち着いてカレーをいただきそうである。
私たちの隣に座っている四人のサラリーマンは
小さなテーブルに肩を寄せ合ってカレーを食している。
大きな声で話すわけでもなく、他の客に気遣っている。
席数はカウンターが7席にテーブルが二つ
テーブルの木材はとても厚みがあって無垢材な感じ。。
インテリアに関しては奥様のセンスというところが大きいらしい。
さりげなく置いた鳥の大きなものなどもなんとも可愛らしい。
さてカレーが運ばれてきた。
主人はマトンのセット。私はおすすめのチキンをオーダー。
ご飯は炊きたてとも言わんばかりの湯気。
そしてカレーからモンモンと揚がる蒸気。
一口食べてみると、あ、けっこうさらりとしている。
コクというよりもすっきりとしたカレー。
その後で、徐々に辛みが増してくる。
ブラウンマスターシートの香気がこの湯気の中に混じって
たまらなく食欲を増す。
ファーストアタックは、さほど辛みは感じないし、
その後も思った以上に辛くはないのだが、
汗がでてきて、止まらなくなってしまった。
鶏肉は、弾力があって、むっちりとした食感。
後で調べたら、比内地鶏を使用との事。
インド料理とも違う、バーモントカレーのような、いわゆる
日本のカレーと違う。
まさにスパイスカレーの一皿先駆け的一皿といえよう。
最近は、ごはんの上に、一切合切を乗っかっているようなスパイスカレーが流行っているが、
これはシンプルにただそのカレーとお肉が乗っているだけの
一本勝負という感じがする。
お皿も白い。そしてスプーンがとても長く美味しさを引き立てる。
主人の方はマトンカレー。
もう何ともとろけんばかりな美味しさ。
柔らかいというか、
もうとろけそう。
こんなに柔らかいマトンは食べたことがない。
そしてデミグラスソース似たようなコク。
マトンくさいというわけではなく、独特の深みとコクをルーが後押ししている。
美味しい!
【総評】格闘技?アトラクション?
無心に何度もスプーンを運んでしまう。癖になる香気が、私に
達成感と爽快感すら感じさせる。